離婚したはずが、辣腕御曹司は揺るぎない愛でもう一度娶る
救急車に同乗し、病院に運ばれた頃には、少しは冷静になれていた。
すぐにお義母さんに連絡をし状況の説明をすると、すぐに病院に来てボロボロの私を抱きしめてくれた。
「お義母さん、玲司が……玲司がっ」
「琴葉さん、しっかりして。今手術してるから大丈夫。あの子は強いから」
私は玲司の血がついたまま、彼の手術が終わるのを待つ。そんな私をお義母さんはずっと抱きしめてくれていた。
玲司、玲司。
私はただ彼の無事を祈ることしかできなかった。頭の中には青い顔でぐったりとした彼の姿が浮かんでくる。
カタカタと震える私の体をお義母さんが強く抱きしめた。
泣いている場合じゃないのはわかっているが、彼のことを思うと涙がとめどなくあふれてくる。
「私を迎えに来ていて、事故に。私のせいで玲司が」
「それは違うわ。さっき玲司が助けた男の子のお母さんから話を聞いたから。玲司のおかげでその子のケガは打撲程度ですんだらしいわ。玲司の行いは素晴らしいものよ。琴葉さんが責任を感じるなんて違うわ。神様はちゃんとみてくれているわ」
たしかに直接的な原因は私にない。だが私が黙って家を飛び出さなければ彼がケガをすることなんてなかったのだ。
やっぱり……私が悪い。
今さら後悔しても遅いのはわかっている。けれど私は自分を責めずにはいられなかった。
長い時間かかった手術が終わり、玲司はICUへと移動した。
私は彼にひと目でも会いたかったのだけれど医師から経過の説明があると言われ部屋に呼ばれる。
お義母さんが同席してくれたのが、本当にありがたかった。自分ひとりでは冷静に話を聞けるとは思えなかったからだ。
医師がレントゲンとMRIの画像を使って説明をしてくれた。
「出血があった頭部ですが、こちらはそう大きな問題はないと思います」
それを聞いてホッとしたのだが、そのあとに私は大きなショックを受ける。
「問題は右足ですね。歩けなくなる可能性があります」
声も出なかった。私は自分の顔を覆ってうつむいた。目の前が真っ暗になってしまう。
「今後の経過次第ですが、かなり状況は厳しいでしょう」
それまで気丈にしていたお義母さんも、ハンカチで目頭を押さえている。
神様はいると思っていたのに。
私たちふたりは、お互いを支え合いながらICU近くのベンチで彼の意識が戻るのを待った。
玲司は翌日には一般病棟へ移動できた。
意識は戻ったものの、あちこちから管が伸びていて痛々しい。目を開けて私を見るとふっと表情をほころばせた。
言葉はなかったけれど、私を安心させようとしているのが伝わってくる。
こんなときまで、私のこと考えなくていいのに。その優しさに私は自分がどれほど小さな人間なのかと思い知る。