青春のたまり場 路地裏ワンウェイボーイ
 その後、太郎がどうなったかは知りませんわ。 聞いたらどっかのおっさんが可哀そうに思って引き上げたらしい。
まったく余計なことをしやがるぜ。 その後で流れ伝わってきた話では母ちゃんにとんでもなくお説教をされて倉庫に閉じ込められたんだそうで。
 それで太郎が改心するとはとても思えんがまあ何もやらんよりはいいか。 芳江はというと騒ぎも知らないで9時ごろにやっと帰ってきた。
「疲れちゃったわーーーー。 ねえねえ肩でも揉んでくれない?」 「あいよ。」
 夕食を済ませた後、俺は芳江の肩を揉みながら胸をツンツンしております。 「今日は疲れてるから無しね。」
「いっつもあんだけやってるのに?」 「いつもはいつも。 今日は今日。」
「冷たいなあ。」 「あなたがね。」
「何でだよ?」 「私はこうして地域のためにも働いてるの。」
「遊んでるんじゃないのか?」 「とんでもない。 あなたみたいなお子様とは違うのよ。」
「やっぱりお嬢様だなあ。 お前はこれからもお嬢様路線だな?」 「そんなのはいいから揉んで。」
 そう言いながら船を漕ぎ始めるから大変。 「ほらほら、お嬢様、風邪ひきますぞ。」
「うーーーん、もう少し揉んでよ。」 「じゃあ、、、。」
俺が芳江を布団に寝かせてから上に重なりました。 「重たいわねえ。 下りてよ。」
「いつも載ってるのに?」 「いつもはいつも。 今日は今日。」
「はいはい。 つまんねえの。」 そう言いながら背中を揉んでやりますと、、、。
いつの間にか芳江は鼾をかきながら寝てしまっておりましたわ。 いいご身分だこと。

 次の日もいつもと同じようにコンビニでレジの留守番をしております。 「やい! 決着を付けようぜ!」
「また来たのか? 飽きねえやつだなあ。」 「出てこい!」
「仕事中なの。 てめえみたいな屑の相手をしてる暇は無いんだよ。」 「何だと? 出てこい!」
「うっせえなあ。 邪魔だって言ってるだろう?」 「貴様が出てこねえから悪いんだ! 出てこい!」
 そこへサイレンを鳴らしながら1台のパトカーが入ってきた。 「わわわわわ、逃げろーーーーー!」
「よう、トイレ借りるよ。」 「はいはい。 どうぞどうぞ。」
 俺は冷たい目でお巡りを見ております。 それに気付いたのか、煙草を一つ買っていきました。
「たまにはもうちっと買ってけよ! パト公目!」 「おー、出てきたな。 決着を付けようぜ!」
「とっくに付いてるけど。」 「何だと? この野郎!」
「また騒ぎに来たのか。」 「誰だてめえ!」
「いい根性だね。 叩き伸ばしてやろうか?」 「わわわわわ、やべえ!」
 パト公が出ていった後、フラリト片岡洋二が店にやってきた。 「片岡さんじゃないっすか。 どうしたんです?」
「いやいや、前の仕事を辞めちまってさあ、暇だから歩いてたんだよ。」 「そうなんだ。」
 「あのゴキブリはまだまだウロウロしてんのか?」 「いやもう大変なの。 家にまで押し掛けて、、、。」
「分かった。 俺さあ母ちゃんと仲いいから抑えてもらうわ。」 「助かります。」
 それで片岡さんは子供の分も弁当屋らジュースやらを買っていった。

 さあさあ昼ですよ。 弁当戦争も真っ最中ですなあ。
今日はよく売れるんだ。 夕方の分は仕入れとかないとやばいぜ。
普段は見ない顔が多いなあ。 出張してきたのか?
 なぜか女が多いような気がする。 いつもは男が多いのになあ。
そんなことを考えながらレジ打ちをしております。 床屋の佳代子も弁当を買いに来た。
「珍しいなあ。 佳代ちゃん。」 「そう?」
「だって普段は来ないじゃないか。」 「そうねえ。 コンビニで買うほど忙しくないから。」
「今日はそんなに忙しいのか?」 「何か知らないけど多いのよ。 じゃあ、またね。」
 その後、しばらくしてまたパト公がやってきましたわ。 (またかい。)
トイレを借りたパト公はジュースを3本買って行きました。 「だからさあ、もうちっと買っていけってんだ。 金は持ってんだろう? パト公目。」
 文句を言っていると芳江が入ってきた。 「こんな時間に珍しいなあ。」
「そう? たまに来るじゃない。」 「昼には来ないだろう?」
「昼? そうねえ、昼間には来ないわねえ。」 「何か用でも?」
「おにぎりが食べたかったのよ。」 「じゃあ握ってやろうか?」
「要らないわ。 ボーリングボールみたいな大きいのは。」 「そこまででかくないぞ。 バカ。」
「うわ、妻に向かってバカだって。」 「バカじゃなかったら何なんだよ?」
「私はおりこうさんなの。 邪魔したわね。」 プイっと横を向いてそのまま芳江は出ていった。
「何だい、あいつは。」 むしゃくしゃした気分で缶コーヒーを飲み干す。 「お見事!」
そこへ寺田実が入ってきた。 「弁当 いっぱい有るなあ。」
「全部買ってもいいよ。」 「全部は食えねえよ。」
「三つくらいは食えるだろう? 大食いなんだから。」 「大食いだからってそれはねえだろう?」
「いいじゃん。 嫁さんも捕まえられるぞ。」 「大食いじゃあ芸にもならねえよ。」
「冷めてるなあ お前。」 「そりゃそうさ。 太郎みたいな単細胞と一緒にするな。」
「あいつは単細胞どころじゃねえよ。 ただの屑。」 「そっか。 ゴミ箱が可哀そうだな。」
 実が弁当を買って出ていった後、またまた芳江が入ってきた。 「今度は何かな? お嬢様。」
「だからさあ、そのお嬢様ってのはやめてって言ってるでしょう?」 「お前が母親になったらやめてやるよ。」
「嫌な人ねえ。 あたしはあなたのママですわ。」 「ドキューン。」
「何か悪いことでも言ったかな?」 「俺のママだったらお前は何歳なんだよ?」
「まあいいじゃない。 そういうことにしておきましょう。」 そう言いながらペットボトルを3本ほど抱えて出ていった。
「あいつもよく飲むなあ。」 さあさあ、これからは暇だぞーーーーー。

 「やい! いつになったら俺と決着を付けるんだ?」 「だから最初から付いてるって何回も言ってるだろう?」
「弱いからそんなことを言って逃げてるんだろう? 出てこい!」 「しょうがねえなあ。 相手してやるか。」
 俺が駐車場に出ていくと太郎が飛び掛かってきた。 ヒョイッと避けてやるとそのまま看板に激突したんだ。
「だから決着は付いてるって言っただろう? 分かんねえやつだなあ。」 「てめえ、俺を怒らせてただで済むと思うなよ!」
「じゃあさあ、俺がお前を叩き伸ばしてやろうか?」 「何だと?」
太郎が振り向いた先には片岡さんが立っていた。 「ワーーーーーー!」
 「お前の根性を叩き伸ばしてやるよ。 かかってこい!」 「ででででででも、、、。」
「意気地なし。 そんなんでよくもまあ嫁さんを捕まえられたなあ。」 「そうだそうだ。 お前に読めなんかもったいないわ。」
「何だと!」 「おー、本気になったか? かかってこい! 太郎!」
 片岡さんも本気らしい。 シャツを脱いで立ち塞がったようだね。
その後、ワートカキャーとかいう声が聞こえるけど俺は仕事に戻って中から見てるだけ。
 1時間ほどして駐車場に出てみると鼻血を流しながらぶっ倒れて呻いている太郎が居た。 (ちっとは懲りたかな?)
ところがなのであーーる。
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