御曹司の俺には興味が無いだと?〜もう1人の俺を愛する秘書補佐
年末年始の休みも終わり、空斗さんが居なくても、毎日は忙しく過ぎていく。
空斗さんは、ニューヨークで3週間過ごした後、直ぐにフランスへ発った。

「こっちもようやく終わりそうだ。華に早く逢いたいよ」
「私もです。また、あの部屋で、色々教えて欲しいこともありますし・・・」
「・・・俺を煽ってるの?お望み通り、色々教えるよ。俺の体で」
「ち、違いますよ!仕事の事ですから」
「何だよ。俺はそれを楽しみに頑張ってるんだぞ」
「もぉ・・・恥ずかしいじゃないですか・・・」
「やっぱり可愛いな。疲れが飛んで元気が出たよ。じゃあ、また連絡する」
「はいっ、待ってますね」

空斗さんに逢える。
私は、近くまで忍び寄る別れの足音に気付かず、ウキウキして時を過ごした。

週末は、いつものように図書館に出掛けた。
何だか最近、気分が悪くなる。疲れで胃の調子でも悪いのかな・・・
そう思いながら、図書館で本を読んでいた。
「ここいいですか?」
「はい、どうぞ」
声を掛けられてその人を見ると、白髪で、私のお爺ちゃんくらいの男性が立っていた。
しばらくすると、
「赤斐華さんって言うんですか?」

しまった・・・空斗さんに、カードを机の上に置くと、名前が分かるから気を付けろと怒られたのに・・・
「は、はい・・・」
「いい名前だ。あなたに似合ってますね」
初めて会った人に、そんな風に言われるなんて・・・
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