不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。



「……何か面白いこと言いました?」

「ご、ごめん。ただ、あの人らのことこんなはっきりと言う人いないから」

「そんな笑わないでもいいでしょう? 永眞さんは、私の大切な旦那様ですもの……怒れるのは当然です。あなたが怒らないなら私が怒ります」

「頼もしいなぁ、藍南さんってとてもお淑やかで箱入り娘って感じだなって思ってたけど。全然違ったね、俺も……藍南さんが奥さんでよかった」


 和やかな空気になったはいいけど、夫婦の営みについて話してない。今ここで切り出したら空気が変になるよね。どうしよう……でも大切なことだし言わないと。

 だが、永眞さんがニコニコしてて私は切り出すことができなくてこの日は何もなく終わってしまった。



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