不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。



「微熱!? 続いてるって、俺知らないんだけど……毎日触ってんのに」

「もう大丈夫だから、永眞さんはお仕事に行ってください。秘書さんにまた怒られますよ」

「あー……そうだな。うん、行ってくるよ。だけど、本当に体調悪かったら連絡してよ」


 永眞さんはたくさん心配の言葉を言いながら玄関を出て行った。




 永眞さんがお仕事に出勤して彼に言われたからか私はだるさが倍増したようにソファに座り込む。


「本当、どうしたんだろう……あ、そういえば今日は料理教室の日だ」


 今日は午後の十一時からで、ちらし寿司だって言ってたな。準備しておかなきゃ。
 私は少しだけ重たい腰を持ち上げて私室に行き、カバンにテキストとエプロンを入れる。料理教室まではここから車で三十分はかかるから十時十五分くらいには出ないといけない。



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