不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。
7.ぼくたちはこれからも


 ――一ヶ月後。


 私は、顔合わせぶりの伊能家に永眞さんと来ていた。
 あの後、私の体にはあざができてしまったが赤ちゃんは無事だった。嗅がされた匂いは睡眠薬だったことが分かり赤ちゃんには影響がないと言われてとても安堵したのを覚えている。

 本家はとてもでかい豪邸で驚きながらも使用人さんの案内でリビングまで通された。


「ではお待ちください」


 使用人さんが出ていくとそれとすれ違いのように伊能家当主で永眞さんの父が入ってきた。


「永眞……藍南さん。よく来てくれたね」


 以前会った時とは印象が全く違う。整っていた髪も、少しふくよかだった体型も今じゃやつれてしまっている。


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