不遇な財閥御曹司は、政略妻に一途な愛を捧げたい。
2.結婚式と新居


 神前式が行われた神社を出て永眞さんの車に乗り込むと、私と彼が住む新居となる家に出発した。

 新居は、東京の中でも住みたい街として人気の高い南青山。
 交通の便が良くて渋谷駅まで行けば山手線も利用できるので、そこからのアクセスは大変便利な場所だ。それにたくさんのお店があるため、買い物に困らない。レジャー施設もたくさんあり、遠出をしなくても十分この地域だけでライフスタイルが揃うのがいい……と前に父から聞いた。


「藍南さん、少し早いが昼食に向かう予定なんだけど……どうかな?」

「え、はい! よろしくお願いします」

「うん。でも、藍南さん……そんな畏まらないで」


 永眞さんは私にそう告げると「もうすぐ到着しますよ」と言い、駐車場に入り駐車をした。

 ……一発で、すごい!


「到着です、藍南さん」

「ありがとうございます。永眞さん、運転がお上手なんですね」

「……ありがとう。二十歳に免許取りに行ったから、かれこれ十年は運転してるからかな。そう言ってもらえて光栄だよ。さ、行こうか」


 車から永眞さんは降りるとすぐに私の座る助手席に回り、ドアを開けた。手を差し出されてそれに手を重ねると「足元気をつけて」と言われて降りればエスコートされる。永眞さん、手慣れてるなぁ。

 そんなことを考えながら、歩くと白壁のおしゃれなレストランに入った。



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