義兄と結婚生活を始めます
…ー
翌朝、寝返りを打ったあおいは、ゆっくり目を開けた。
少しぼんやりして壁を見つめると、ようやく意識がはっきりする。


「……夢…!?」


最後に見た和真がいた場所へ振り向くと、そこに姿はない。
急に気持ちが落ち着かなくなり、慌てて部屋を出た。

すると、キッチンからいい匂いがしてくる。
そのままリビングのドアを開けた。


「おはようございます」

「……お、はよう…ございます…」


キッチンに立っていた和真は、カッターシャツにネクタイをつけていので、少し驚いた。


「ちょうど起こしに行こうと思っていました」

「あ…今日お仕事、ですか…?」

「いえ。今日は挨拶に伺いますよ?」

「え…?」

「あおいさんのご家族に、結婚の挨拶をしに行きます」


ボッと顔が赤くなるのを見ると、和真はクスクスと笑った。


「夢にされると困ります、と言いましたよ」

「…そう…ですね…」

「フレンチトーストを作ったので、よかったら」

「え!わ……き、着替えてきます!」


今度は驚きと嬉しさが合わさった表情を見せるあおい。
すぐに踵を返して部屋に戻った。


(夢じゃない…!和真さんに好きって言って…和真さんも好きって…)


着替えながら、昨日の出来事を思い返していく。
着替え終えると、櫛で髪の毛をといていった。


(…手を繋いで…好きって……。ど、どうしよう…嬉しい…!)


ふと、鏡に映る自分がニヤけているのに気づくと、頬をペシっと叩いた。


(平常心、平常心…!!)


再度、和真のいるリビングへ戻ると、そのままいつもの席に座った。
すぐに後ろから、フレンチトーストの乗ったプレートが差し出される。


「あっ、ありがとうございます!」

「…好きなんですね」

「え!?は、はい!だって昨日も和真さんに言いましたよ…!」

「……フ、フレンチトーストが…と言おうとしたんですが……その、ありがとうございます…」


不安を見せた顔が真っ赤になるあおいは、すぐに両手で顔を覆った。
和真も、あおいの言う言葉を理解したのか、少し照れる表情を手で隠す。


「〜〜っ、い!いただきます!」

「…はい…」


置かれていたフォークを取ると、さっそくフレンチトーストをひと口頬張った。


「ん!んん〜…!」

「お口に合いましたか?」

「はい!とっても甘くて美味しいです!」


満面の笑笑顔で答えると、もうひと口頬張る。
コーヒーの入ったマグカップを持って、対面の席に座ると、和真はあおいの様子を微笑んで見ていた。


「やっぱり和真さんの腕前すごいです!」

「あおいさんには負けますよ」


そのままコーヒーを飲む和真と、またフレンチトーストを頬張るあおい。
いつもの朝食の風景が、キラキラして見えた。
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