義兄と結婚生活を始めます
和真の表情から、気恥ずかしさや不安を感じているように感じると、あおいは掴んでいた手に力が入る。
「そんなことありません!!和真さんがペンギンを好きって知られて、すごく嬉しいです!」
一生懸命に、自分の感情を伝えてくれるあおいに圧倒されつつも、小さな手が震えていることに気づいた。
ハッと我に返ったあおいは、慌てて手を離す。
「あ、ぁ…えっと、ごめんなさい…ペンギンではしゃぐ和真さんが…その、可愛かったので…えぇと……」
しどろもどろに語尾が小さくなるあおいは、どんどん自分が恥ずかしいことを言っていると思えてきた。
和真は、あおいから視線をペンギンへ移し、指をさした。
「あおいさん、あそこのペンギン…」
「…モフモフ…!」
和真が指した方向を見ると、羽毛の状態のペンギンがいた。
可愛さと相まって、手触りが連想できる。
「いいですよね…モフモフ…。ペンギンは羽毛の生え変わりや子育てをするときなど、特別な事情がなければ陸には上がらないんです」
「え!?テレビでは氷とか岩の上とかにいる映像が多いですよね…びっくりです…」
「ペンギンは一生のうち、半分以上を海上で過ごすと言われています。陸上の様子を撮影するって、結構難しいんですよ。だから、テレビで流れる映像は本当に貴重で…同時に、ペンギンの子育ての様子や新しい行動が発見されるんですっ」
ペンギンについての解説をし終えた和真は、グッと拳を握ってしまった。
すると、じっと見てくるあおいの視線に気づき、拳を下ろす。
「…すみません。つまらなかったですね」
「本当にペンギンが好きだって伝わります!面白いです!」
笑顔ではしゃぐあおいを見て、安心したように笑みをこぼす和真。
二人は、ゆっくり進みながらペンギンを見ていった。
「そういえば、ペンギンって足を折った状態で歩くんでしたよね?何か理由があるんですか?」
「あれは、体を丸めて保温効果を保つことが理由です。ペンギンの生息地が寒い地域なので、体の熱を逃がさないように膝を曲げています」
「なるほど。可愛いだけって思ってたけど、きちんと意味があるんですね」
ペンギンの知識を知ったあおいは、楽しそうに笑ってペンギン見る。
「和真さんといると、たくさんのことを知れるので、賢くなれそうです!」
「…ふふ…」
口元に手を当てて笑ってしまった和真。
意外な反応に、あおいはすぐに顔を向ける。
「あぁ…すみません…ふふ…」
「そんなに頭良くないので…笑わないでくださいよ…」
恥ずかしそうに俯いてしまうあおいに、和真は笑ったまま顔を覗き込んだ。
「僕の話を聞いてくれるのは、あおいさんが初めてですよ」
優しい笑みの和真と目が合ったあおいは、赤くなる顔を逸らして話を変える。
「そっ、そろそろ泳いでるペンギンを見に行きましょう…!」
慌てて笑顔で和真に振り返ったあおいだが、進行方向にいた他の客にぶつかってしまった。