義兄と結婚生活を始めます
家の施錠をすると、エレベーターに乗ってロビーで降りた。
フロントへ挨拶をすると、自動ドアを出て両親が乗った車を待つ。

空はあおいの不安とは逆に、雲一つない晴天だ。


(楽しみな高校生活になるといいんだけどなぁ…)


諦めきれない淡い期待を抱いていると、送迎の車が目の前に停まった。
運転席のドアが開くのと同時に、後部座席の窓が開く。

久々の娘の顔を見ようと両親が顔を出しては、嬉しそうな表情を見せた。


「あおい!」

「元気にしてたか!?早く乗ってくれ!」

「お母さん、お父さん…!あ、三森さんありがとうございます」

「とんでもございません。和真様から安全運転で送り届けるよう重々言われております。さぁ、お乗りください」


後部座席の扉を開けると、あおいはおずおずと乗り込んだ。
シートベルトを締めるのを確認した三森は運転席に戻り、さっそく車を発車させる。


「元気そうで良かったわ。制服も似合ってるわよ」

「すっかり高校生になったなぁ…ごめんな、本当は行きたい学校があったのに…父さんのせいで…」

「私は大丈夫だよ!それに、名望学園なんてきっと無縁の場所だったし…やる気出てきた!」


こぶしを握って笑顔を見せるあおい。
父親はホッとすると、ポンポンとあおいの頭をなでる。


「父さんも母さんも、千尋ちゃんも、あおいの味方だからな」

「和真様もお忘れなく」


運転していた三森があおいの父親の言葉の後に続けると、あわてて「もちろんです!」と答えて、車内は笑いに包まれた。

しばらくして、レンガと格子状の外観が窓から見えてきた。
校門の前で車が止まると、三森は再び後部座席のドアを開ける。


「さ、到着いたしました。ここからまっすぐ行かれると受付ですので、小鳥遊家の名前をお伝えください」

「ありがとうございます」


親子が車から降りるのを確認した三森は、ドアを閉めて車に乗り込んで行った。
あおいたちは三森を見送った後、改めて門前の豪華さに息をのむ。


「学校というより貴族の家みたいだな…」

「貴族のための学校だよ、お父さん」

「さぁ2人とも、受付しに行きましょ」


唯一、圧倒されていない母親は品良く歩き出した。
あおいは、ふと周囲を見て両親とお供のような荷物持ちを連れた新入生たちに気づく。

皆、どことなく優雅で気品が漂っているように感じるあおい。


「あおい?どうした?」

「あ…今行く!」


新入生たちに合わせるように、ゆっくり丁寧に歩いて向かった。
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