義兄と結婚生活を始めます
13話
「う~ん……」
鏡の前でうなっていたあおいは、いまだに自分の新しい制服姿に納得できない様子だった。
紺色のブレザーに赤いリボン、クリーム色のスカート。
「…なんか…中学の頃と違うなぁ…受かってた高校はセーラーだったし…これを着るイメージなかったなぁ…」
小さくため息をついていると、スマホのアラームが鳴る。
ハッと気づくと、急いでスマホと鞄を持って部屋を出た。
リビングに行くと、朝食を準備し終えた和真があいさつをした。
「おはようございます」
「お、おはようございます!すみません、朝食…」
「今日は入学式じゃないですか。そちらに集中してください」
少し申し訳なさを感じていたあおいは、和真の視線に気づく。
まじまじと見てくる和真に顔が熱くなるのを感じた。
「えっと…か、和真さん?」
「いえ。僕の時とはデザインが少し違う気がするな、と」
「そうなんですか……え??」
「うろ覚えですが」
和真は顎に手を添えて小首を傾げていい終えると、朝食を食べるため、自分の席に着いた。
慌てながらもあおいも席について、食事の挨拶をする。
それでも我慢しきれなかったあおいは、トーストを一口食べると、顔を上げた。
「あの!和真さんの時って、どういう意味ですか?」
「…あぁ、明望学園は僕の母校です。初等部の頃から通っていました」
開いた口が塞がらないあおいに対して、特に何も言及しない和真。
(和真さんがまさかのOB……)
「えっと、つまり…私、和真さんのこ、後輩ってことですか?」
「まぁ、一般的に見ればそうなりますね。ごちそうさまでした。所用があるので先に出ます」
あおいが答える間もなく、食器を下げると背広と鞄を持ってすぐに玄関へ向かってしまった。
出かける挨拶すら頭にないあおいは、しばらく固まったままだった。
(これ…もし、私の成績とか所作が悪かったら、和真さん…小鳥遊さんの名前に泥を塗るかもだよね…!?お父さんはクビにしないって言ったけど…これで気が変わったら…)
「……とんでもない高校に行くってことだ……」
青ざめるあおいはぼそりとこぼした。
すると、スマホの着信音が鳴り、肩がビクリと跳ねる。
画面を見ると、父親からだった。
「もしもし!?お父さんクビになってない!?」
「お、おぉ…?どうした!?何かあったのか!?」
「私のせいでお父さんが仕事辞めちゃったらどうしよう!?」
半べそであたふたと話すあおいの耳元で、母親の声が聞こえてきた。
「あおい?落ち着きなさい。今日は入学式でしょ?今、小鳥遊さんの送迎者でそっちに向かってるから、入り口で待ってなさいね」
「お母さん…」
「不安な気持ちはわかるわ…でも、あおいなら大丈夫。早く顔を見せてね」
母親の言葉にホッとしたのか、こぼれかけた涙をグッとこらえ、返事をして電話を切った。