義兄と結婚生活を始めます

「居残り?この学園じゃ珍しいよ」

「あ…え…」


顔を上げれば、祐希の姿があった。
すると、祐希の指先があおいが書いた単語の部分を指した。


「ここ、違う。組織形成とマーケティングは別で考える」

「うそ!はぁ〜…覚え直しだ〜…」


祐希の指摘に、顔を手で覆うあおい。
頬杖をついた祐希はぽつりと、呟くように聞いた。


「やっぱさ、気になるなーって思って。で、いないかと思って見にきた。…お姉さん元気?」

「…うん……たぶん…」

「たぶん?」

「訳あって連絡とれないの…でも、元気だと思う」


力なく笑うあおいをじっと見つめる祐希。


「あおいが元気ないじゃん。なぁ…入学式にいたあの小鳥遊の人と結婚したって本当なのか?」

「な、なんで…?」

「女子が話してた。というより、たぶん校内で一番の噂になってる」

「ホントウ…デス…」

「…ふーん……」


目を逸らして答えるあおいは、久々に再会ばかりの祐希に対して、嘘をつくことに良心が痛んだ。


「それにしても、祐希くんが県議員さんの息子だなんて、知らなかったよ。なんで途中まで普通の小学校だったの?」

「あー…母さんの希望で普通の小学校だったけど、父さんが口うるさくなって…って感じ。俺はあおいと一緒の学校が良かったんだけど…また一緒にいられるからラッキーって思ってる」


嬉しそうに笑う祐希の表情にあおいはドキッとして、顔を赤らめる。


「私も嬉しいよ。小学校みたいに遊ぶ~とかはできないけど、一緒の学校でよかったなって」

「それにしても、泣き虫のあおいがこんな金持ち学校で上手くやってるとはな~」

「な、なに!?変なところあった!?」

「さぁ?別に~?」


今度はにやにやと笑ってからかい始める祐希に、あたふたし始めるあおい。
それがおかしかったのか、笑い始めた祐希と一緒に笑い出した。

すると、そこへ見回りの教員がやってきて、二人に下校するよう促す。


「あははっ、そんなこともあったね!」

「あんときは、ほんと…恥ずかしかった…。でもあおいだって、負けてないだろ?図書室で盛大にヘプチ!とかくしゃみしてたじゃん!」

「も、も、もうあれは忘れて!!本当に人生恥ずかしいランキング殿堂入りなんだから!」

「なんだそりゃ」


玄関口に向かって歩きながら、昼休みの続きのように小学生時代の話に花が咲く様子は、まだまだネタは尽きないようだ。

< 85 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop