義兄と結婚生活を始めます
「居残り?この学園じゃ珍しいよ」
「あ…え…」
顔を上げれば、祐希の姿があった。
すると、祐希の指先があおいが書いた単語の部分を指した。
「ここ、違う。組織形成とマーケティングは別で考える」
「うそ!はぁ〜…覚え直しだ〜…」
祐希の指摘に、顔を手で覆うあおい。
頬杖をついた祐希はぽつりと、呟くように聞いた。
「やっぱさ、気になるなーって思って。で、いないかと思って見にきた。…お姉さん元気?」
「…うん……たぶん…」
「たぶん?」
「訳あって連絡とれないの…でも、元気だと思う」
力なく笑うあおいをじっと見つめる祐希。
「あおいが元気ないじゃん。なぁ…入学式にいたあの小鳥遊の人と結婚したって本当なのか?」
「な、なんで…?」
「女子が話してた。というより、たぶん校内で一番の噂になってる」
「ホントウ…デス…」
「…ふーん……」
目を逸らして答えるあおいは、久々に再会ばかりの祐希に対して、嘘をつくことに良心が痛んだ。
「それにしても、祐希くんが県議員さんの息子だなんて、知らなかったよ。なんで途中まで普通の小学校だったの?」
「あー…母さんの希望で普通の小学校だったけど、父さんが口うるさくなって…って感じ。俺はあおいと一緒の学校が良かったんだけど…また一緒にいられるからラッキーって思ってる」
嬉しそうに笑う祐希の表情にあおいはドキッとして、顔を赤らめる。
「私も嬉しいよ。小学校みたいに遊ぶ~とかはできないけど、一緒の学校でよかったなって」
「それにしても、泣き虫のあおいがこんな金持ち学校で上手くやってるとはな~」
「な、なに!?変なところあった!?」
「さぁ?別に~?」
今度はにやにやと笑ってからかい始める祐希に、あたふたし始めるあおい。
それがおかしかったのか、笑い始めた祐希と一緒に笑い出した。
すると、そこへ見回りの教員がやってきて、二人に下校するよう促す。
「あははっ、そんなこともあったね!」
「あんときは、ほんと…恥ずかしかった…。でもあおいだって、負けてないだろ?図書室で盛大にヘプチ!とかくしゃみしてたじゃん!」
「も、も、もうあれは忘れて!!本当に人生恥ずかしいランキング殿堂入りなんだから!」
「なんだそりゃ」
玄関口に向かって歩きながら、昼休みの続きのように小学生時代の話に花が咲く様子は、まだまだネタは尽きないようだ。