イケメン御曹司は恋に不慣れ
オーナーが労いの言葉とともに封筒をスタッフに渡していく。
これが金一封なのか、と思い私も手を出した。
「川越さん。あなたにはあの時何があったのかご報告いただきたいですね」
「…あの時、ですか?」
「そう、僕がドリンクを代わった時のことです」
「あ!? …はい……」
私以外のスタッフが帰りの支度をする中、オーナーに呼ばれた私はビクビクしていた。
先に着替えをしてくるようにと言われ、私は更衣室で芹菜さんと一緒に着替えていた。
「ひまりちゃん、浩介さんと何かあったの?」
「いえ、あの…」
とあの時のことを芹菜さんに説明していると、芹菜さんはなぜだか急に笑いだした。
「浩介さんって、そういうことだったのね。あ~、いつもの浩介さんとなんか違うなって最近思うことがよくあったんだけど、なんだそういうことか」
「えっ? 芹菜さん、オーナーがどうされたって言うんですか? 何か知ってるなら教えてください。私、オーナーがいる日はいつも監視されてるみたいでビクビクしてるんですよ」