イケメン御曹司は恋に不慣れ
「どうぞ」と浩介さんの声が聞こえた。
「失礼します」とドアを開けて入室する。
応接テーブルに座る浩介さんに前の椅子に座るように指示され、腰掛けると浩介さんが口を開いた。
「さっきの状況だけど、あれあの男たちに個人的な誘いを受けてたよね?」
「あ…はい」
「それで、なんであんな風にその気があるような態度でいたの? 仕事中だったよね」
わかってるか、と念を押されては怒られているとしか思えず、解雇されることを覚悟した。
私は怖くて俯きながら話をした。
「す、すみません。いちおう仕事中だと断ったのですが、なかなか諦めてくれなくて…。あの…私、クビですか?」
「はああ!? なんで、そうなる?」
「ち、違うんですか?」
体がビクッと小さく震え、恐る恐る浩介さんの様子を覗き見る。
そこには額に手を当て困惑した様子の浩介さんがいた。