イケメン御曹司は恋に不慣れ
「違うよ。クビではない。あのように客に絡まれた時には隙を見せないでほしい。間を開けず、すぐに断われ」
「すぐに断われ…ですか?」
「そうだ。考えている素振りを見せないこと。だいいち仕事中なんだぞ。簡単に断れるだろう」
「あ、はい」
「ああいうナンパな奴らはきっぱり断られてまでしつこくしてこないだろう。彼氏がいますとでも適当に言っておけ」
「私、彼氏なんていませんけど…」
「いないから言えないとかじゃなくて、諦めさせるために言うんだよ」
「はあ…」
「それとも、あの男のこと気になっていたのか?」
「いいえ、そんなことありません。ありませんけど、わざわざ彼氏がいるなんて嘘をつくんですか?」
「まったくどこまで真面目なんだよ。実際に彼氏がいないと断れないっていうなら、俺が彼氏にでもなってやろうか?」
「いえ、滅相もございません」
恐れ多くて背筋がピンと伸びた私を目を見開いて見ていた浩介さんがいきなり笑い出した。