イケメン御曹司は恋に不慣れ

「今日はお疲れさま。明日からは正社員として頼むよ。しっかり働いてくれな」
「正社員…でいいんですか。はい、よろしくお願いします。明日からも頑張ります」
「あぁ、頑張ってくれ」
「あ、ありがとうございました。お疲れさまでした」

下で待っていてくれた芹菜さんと祐二さんに正社員になれたと報告した。
「ほらね。クビになんかならなかったでしょう」と喜んでくれた芹菜さんとお店を出た。
駅までの道のりは今日の仕事の話が中心だったのだが、芹菜さんがふと聞いてきたことに焦った。

「浩介さん怖くなかったでしょう?」
心の中では、そんなことないです。怖かったですよ。とは想っていてもとても言えない私は
「いえ、やっぱり対面で話をするのは心臓に悪いです」
なんて真顔で答えていた。
さっきから心臓が誤作動を起こしていた。
イケメンの作らない笑顔って、破壊力ハンパないんだとこの時知った。
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