イケメン御曹司は恋に不慣れ

「はあ…」とまた、ため息を一つ吐いたところで誰かにこの状況を分析してほしくて友人をバルに誘った。
先に着いてウイスキーを飲んでいた俺に気がついた柾樹が隣に座った。

「よう、今日はどうした」
「おう、忙しいのに突然で悪いな」
「浩介から声がかかるのなんて久しぶりだからな。忙しくても来るさ。ただ、あまり遅くにはなれないけどな」
口の端をあげてニヤリと笑っていた。

「早く奥さんに会いたいってか？　相変わらずべた惚れだな」
「まあ、そうだな。カナとはいつも一緒にいたいからな。まあ、今日は彩未さんとご飯を食べてくるって言ってたから、ゆっくりしておいでと言ってはあるが、適当な時間で帰らせてもらうよ」
柾樹は惚気ながら、マスターに注文していた。

「どうも、ごちそうさま。幸せそうで何よりだな」

柾樹の嬉しそうな顔を見て虚しくなった俺は、ウイスキーを一口飲み、またため息を吐いた。