イケメン御曹司は恋に不慣れ

芹菜さんの言う通り、浩介さんは上の立場の者として従業員を守っただけなんだと思うと少し寂しく感じるのはなぜなんだろう。
ずっと忘れられずにいた人だけど、あくまでもオーナーと従業員なんだから、それ以上でも以下でもないのよ、と自分に言い聞かせる。
「もういつまでも気にしない!」
そんな不安定な気持ちを抱えながら浩介さんのいない数日を過ごした。

しばらく浩介さんのいない日が続いたその週末、またパーティーの予定が入っていた。
今度も結婚式の披露宴と二次会のようで大勢の人が来店する予定になっていた。
日曜日のランチ時から夕方まで行われるパーティーの準備に朝から大忙しだった。
でも、今日はディナーの予約は取っていないので早めに営業が終わる。
久しぶりに早めに帰れる日は貴重なので、仕事にもいつも以上に気合が入る。

もうすぐ始まるパーティーの準備も整い、お客様を迎える。
新郎新婦が入店しパーティーが始まろうという時に名前を呼ばれて驚いた。
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