人生は虹色
「何カッコつけてんだよ!もうバスケはこりごりってか?」



「いや、そんなんじゃ……」



「だったら、なんだよ?理由があんだろ?」



先生の恐ろしい覇気に圧倒され、

僕は腰が引けていた。



男口調で荒っぽいというか、

喧嘩腰というか、とにかく怖かった。



「その……疲れるといいますか……」



「何が疲れるだ馬鹿野郎が!お前の良かったところは忍耐力だろ!どんなに厳しいこと言っても、挫けず練習に来たじゃろうが!」



褒められているのか、

怒られているのか、

どっちなのだろうか?



いや、250%後者だ。



目が怖すぎる。



それに、

卒業しても説教を喰らうなんて、

思ってもみなかった。



「……」



「一ノ瀬のダメなところも教えてやる!気持ちが弱すぎ!弱すぎて本当にお前、男なんか?っていうレベル!」



先生、僕の心はズタボロです。



容赦なく棘を刺す先生の目を見たら、本気すぎて余計に怖すぎた。



よく先生に言われたことがある。



『足許ばっか見すぎじゃ』

最初、どう言う意味なのか分からなかった。



辞書を調べても載ってないし、

部員達に聞いてもちんぷんかんぷん。



頭のモヤモヤをスッキリしたくて、

先生に直接聞いてみた。



返ってきた言葉は『自分で考えぇ!!』



またモヤモヤのモヤが一つ増えただけ。



先生は気づいて欲しかったのだろう。



あえて回りくどい言い方をして、

僕たちに考えさせた。



下ばっか向いてどうする?



気持ちが下がった状態で試合に勝てますか?

と僕に言いたかったのだろう。



もし気持ちが強かったら、県選抜にも選ばれていたかもしれないのに。



ホント惜しいことをした。
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