愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!

11.返り討ちにされてしまいました

 旦那様が甘ったるいのはなにも寝室のなかだけの話ではありません。

 朝食の準備中も、旦那様はわたくしのことをものすごく気遣ってくださいます。
 本当は旦那様も『一緒に作る』と申し出てくださったのですが、食事というのは胃袋を掴む貴重な機会ですから! 丁重にお断りして、毎朝わたくしが作らせていただいています。


「あの……旦那様は座っていてください。ここはわたくしが」

「なにを言う。あとは盛り付けをして運ぶだけなんだし、このぐらいは俺にさせてほしいんだ。それに……この間『少しでも長く一緒にいたい』と伝えただろう?」


 ああ、ダメです……ズキュン、と胸を撃ち抜かれました。もう、何度目のことでしょう?


(旦那様、短期間の間にわたくしの殺し方を心得すぎていらっしゃいませんか?)


 最初は全然そんな感じじゃなかったのに。
 というか、プレヤさんからは『あいつの攻略は難しいから、絶対に長期戦を覚悟したほうがいい』って聞いていたわけですよ。ですからわたくしも、相当策略を練って、覚悟を持って、旦那様との一騎打ちに挑みに来たわけです。

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