愛する婚約者様のもとに押しかけた令嬢ですが、途中で攻守交代されるなんて聞いてません!
 まったく、ここまでお膳立てしてやらなければ想い切ることができないなんて、うちの後輩には困ったものだ。だけど……


「そうですね。プレヤさんのおっしゃるとおりかもしれません」


 こんな穏やかな表情のハルトを見るのははじめてだ。
 真面目で融通が利かない、仕事に生きる熱い男。自分とはタイプが違うから、見ていてちっとも飽きないし、これからどう動いていくかとても気になるところ。


「……あっ! 言っとくけど、プロポーズは時と場所と場合を考えろよ! 間違っても、家の中で適当に済ましたらダメだからな!」

「え? そうなんですか?」

「当たり前だろう?」


 やっぱり、これからも僕が気にかけてやらなきゃダメなんだろうな。
 世話が焼けるな、なんてことを思いつつ、僕は密かに笑うのだった。
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