【お手紙お返事ぺーパー】8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました。小話
 初代王に加護を与えた聖獣が狼だったためか、国王となるものに加護を与えるのは狼が多い。
 イーサン王の息子であるルパートの加護の儀式の時も、聖獣内ではドルフが加護を与えるだろうと予想していた。だが、ドルフは断固として拒否した。そのため、鷹の聖獣フランクリンが名乗りを上げてくれたのである。

『知りもしないやつに加護を与える意味が分からない。国なんてどうなったって、ラングレン山さえ守れればいいじゃないか』

 そう言うドルフに、ダグラスはあきれ顔だ。

『お前は勝手だな。ルパードの子供たちもそろそろ年頃になるぞ。本当に守ってやる気がないのか?』
『守られるに値しないやつに、加護などやりたくない』

 ふんとそっぽを向いて、ドルフはその場を後にした。


 しかしドルフはその後、山で迷子になったフィオナと出会うこととなる。めそめそ泣いている小娘を放ってもおけず、子犬の姿になり、正しい道まで戻してやる。

(まったく、王家の娘が山を探検するなど、何を考えているのだか)

 あまりに無鉄砲さに、あきれてしまう。

『ありがとう、ワンちゃん』

無事ふもとにたどり着くと、フィオナはドルフをペットにすると言い出した。

(こいつ……! この俺様をペットにだと? ペットはお前の方だ!)

 その日から、ドルフはフィオナをペットとして認識することにした。
 そうなると不思議と離れがたい。なにせペットなのだから、守ってやらなければならないのだ。
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