【お手紙お返事ぺーパー】8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました。小話
 現在三歳の双子が、そろってフィオナのもとへ来て、「かくれんぼをするから、みつけるやくをしてほしい」と言ってきた。 彼らいわく、「ふたりでやるとつまらない」のだそうだ。

 そんなわけでフィオナは、かくれんぼの鬼だ。三十を数えてから目を開けて、あたりを見回す。
 捜すのはアイラとオリバー、そしてドルフとリーフェだ。隠れてもいい範囲は、中庭を含む後宮内。結構広い範囲だ。子供たちはともかく、聖獣たちを見つけるのはなかなか至難の業だろう。

「最初はありきたりなところを捜しましょうか」

 フィオナはまず、子供部屋を覗いた。アイラのベッドに、わかりやすくふくらみがある。

「見つけたわ!」

 シーツを剥ぐと、現れたのは白い子犬──リーフェだ。

『ふわあ、フィオナ。おはよう』
「リーフェったら、寝ていたの? 全然隠れる気がないじゃないの」
『だってぇ。かくれんぼ、つまらないもん』
「そう?」
『フィオナもやってみればわかるよ』

 リーフェは両足を床につけて伸びをする。フィオナが歩き出すとついてくるので、一緒に探してくれるつもりなのだろう。

 フィオナは廊下に戻り、鍵のかかっていない部屋を見回す。ふと、小さな歌声が耳に届き、足を止める。かわいらしい高い声は、アイラのものだ。それが、出発地点だった居間から聞こえてくる。

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