【短編】メルティングギフト
対して時永先生はというと……。



「冬休みに入ったら温泉行こうよって誘われてさ、2泊3日で旅行することになったんだよね。しかも部屋に露天風呂が付いてるって。ドキドキしすぎて顔見れな」

「先生、着きました」



淡々とした口調で口を挟み、話を切り上げた。



「あっ、ごめん。また長々と……」

「いえ全然。もう慣れっこですから」



付き合って5年以上経った今も、彼女さんのことが大好きなんだよね。

今度会った時、混浴想像してニヤついてましたって教えようかな。



「それにしても、6年って長持ちですね」

「まぁ、大切に使ってるからね。2ヶ月間悩んだ末に選ばれた物でもあるし」

「2ヶ月⁉ そんなに悩んでらしたんですか⁉」

「うん。今の那須さんみたいになかなか決められなかったって言ってた」



意外な裏側に目を丸くする。

あの優雅で落ち着きのあるお姉さんが⁉
< 20 / 73 >

この作品をシェア

pagetop