【短編】メルティングギフト
感情表現が豊かなせいで、気持ちを隠すのがちょっぴり下手なところとか。

真っ直ぐすぎて、時々1人で突っ走っちゃうところとか。


本当、那須先輩って──。



「じゃあ私、そろそろ行くね! またらいしゅ……うわぁぁ!」



微笑ましく見ていたら、水たまりで足を滑らせてバランスを崩した。とっさに彼女の腕を掴み、もう片方の手で肩を支える。



「大丈夫ですか?」

「うん……ごめん、ありがとう」

「良かった。ここ、ちょっとぬかるんでるので気をつけてくださいね」



昔も今も、いい意味で先輩っぽくない。







那須先輩と出会ったのは去年の6月。



『あの、すみません。委員会の方ですか?』



いつも待ち合わせしてる校舎裏で話しかけられたのが始まり。

その時、美化委員の活動で校内を掃除しており、ゴミ回収係を任された俺はゴミ捨て場を探していた。

のだが、まだ入学して2ヶ月。

校内案内はしてもらったものの、東屋や駐輪場などの施設以外の場所は教えてもらっておらず、彷徨っていた。
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