恋は秘密のその先に
第十一章 意地の張り合い
 翌日。
 経過も良好で、真里亜は無事に退院を許可された。

 住谷が明るく病室に現れ、真里亜を自宅マンションまで車で送ってくれる。

「良かったね、真里亜ちゃん。大事に至らなくて」

 バックミラー越しに住谷が声をかけるが、真里亜はムッとしたままだった。

「ねえ、真里亜ちゃん。もういい加減、機嫌直してよ」
「直せません! そんな簡単に、はいそうですか、なんて、絶対言いませんからね! 私」

 住谷が苦笑いしてなんとか真里亜のご機嫌を取ろうとするが、真里亜は更にへそを曲げるばかりだった。

「急にチームから外すなんて言われて、納得出来ると思います? 住谷さん。私、絶対に鬼軍曹の言うことなんて聞きませんから!」
「はあ、やれやれ、二人してもう。いい勝負だよ」

 住谷はお手上げとばかりに、呆れ顔で独りごちた。
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