恋は秘密のその先に
「みんな、今日まで本当によくやってくれた。ありがとう、お疲れ様!」
「お疲れ様でした!」
「かんぱーい!」
文哉の音頭に、皆で一斉にグラスを掲げる。
無事にキュリアスの仕事が全て終わり、チームのメンバーは会議室でささやかな打ち上げをしていた。
「いやー、今回は何と言っても真里亜ちゃんのおかげだよ」
「いえいえ、そんな。皆さんのシステムの説明、素晴らしかったです。先方のエンジニアの方達も感心されてましたし」
「けど俺達は、肝心の社長は納得させられなかったんだ。真里亜ちゃん、いつの間にあんな資料作ってたの?使う予定じゃなかったでしょ?」
「はい。いつも準備する資料は『10のうち1だけでも役に立てば儲けもの』って気持ちで作ってますから」
「へえ、すごいなー」
「これぞ、秘書課魂!って私、人事部ですけど」
あはは!と皆が笑い声を上げる。
「とにかく!今日の立役者、真里亜ちゃんにかんぱーい!」
笑顔で皆と乾杯している真里亜を、文哉は少し離れた所から見守っていた。
「いいのか?彼女を逃しても」
いつの間にか隣に来ていた住谷が声をかける。
「お前、彼女以上の子なんて見つけられるのか?真里亜ちゃんがそばにいるのといないのとでは、雲泥の差だな。仕事も、この先のお前の人生も」
ポンと文哉の肩に手を置いてから、住谷は皆の輪に加わる。
一層盛り上がるメンバーと、その中心で明るい笑顔をみせる真里亜を見て、文哉は複雑な想いを抱えていた。
(いつも冷たくあしらって、あんな怪我まで負わせてしまった。チームから外れろと言っておきながら、結局こんなにも助けてもらって…。今更、なんて声をかければいいのか)
それにキュリアスの仕事は終わった。
明日から真里亜は人事部の仕事に戻る。
(もう彼女との接点はなくなったんだ)
急に真里亜を遠くに感じ、文哉は結局ひと言も声をかけることが出来なかった。
「お疲れ様でした!」
「かんぱーい!」
文哉の音頭に、皆で一斉にグラスを掲げる。
無事にキュリアスの仕事が全て終わり、チームのメンバーは会議室でささやかな打ち上げをしていた。
「いやー、今回は何と言っても真里亜ちゃんのおかげだよ」
「いえいえ、そんな。皆さんのシステムの説明、素晴らしかったです。先方のエンジニアの方達も感心されてましたし」
「けど俺達は、肝心の社長は納得させられなかったんだ。真里亜ちゃん、いつの間にあんな資料作ってたの?使う予定じゃなかったでしょ?」
「はい。いつも準備する資料は『10のうち1だけでも役に立てば儲けもの』って気持ちで作ってますから」
「へえ、すごいなー」
「これぞ、秘書課魂!って私、人事部ですけど」
あはは!と皆が笑い声を上げる。
「とにかく!今日の立役者、真里亜ちゃんにかんぱーい!」
笑顔で皆と乾杯している真里亜を、文哉は少し離れた所から見守っていた。
「いいのか?彼女を逃しても」
いつの間にか隣に来ていた住谷が声をかける。
「お前、彼女以上の子なんて見つけられるのか?真里亜ちゃんがそばにいるのといないのとでは、雲泥の差だな。仕事も、この先のお前の人生も」
ポンと文哉の肩に手を置いてから、住谷は皆の輪に加わる。
一層盛り上がるメンバーと、その中心で明るい笑顔をみせる真里亜を見て、文哉は複雑な想いを抱えていた。
(いつも冷たくあしらって、あんな怪我まで負わせてしまった。チームから外れろと言っておきながら、結局こんなにも助けてもらって…。今更、なんて声をかければいいのか)
それにキュリアスの仕事は終わった。
明日から真里亜は人事部の仕事に戻る。
(もう彼女との接点はなくなったんだ)
急に真里亜を遠くに感じ、文哉は結局ひと言も声をかけることが出来なかった。