不器用な神野くんの一途な溺愛


「小野宮!待てよ!!」



神野くんに私の想いを指摘されて、そして、まるで見透かされたようで……。

その場にいることに耐えられなくなって、思わず教室を飛び出してしまった。




「ハァ、ハァ……ッ!」



分かってる。

私の鈍足じゃ、神野くんにすぐ追いつかれる。


けど、まだ分かってない。


私の中にある気持ちがなんなのか、まだ分かってない。



「(考える時間がほしい……っ)」




次に神野くんに捕まったら、絶対また聞かれる。「俺のこと好きか」って聞かれる。


私の気持ちに向き合った後で、ちゃんと神野くんと向き合いたいから、


だから、今は時間が欲しい。



「でも、すぐ、」



捕まってしまう――


そう思った時だった。


ある教室の前を通った時に、横からニュッと手が伸びできた。


そして的確に私の腕を掴み、中に引きずり込む。
< 278 / 425 >

この作品をシェア

pagetop