不器用な神野くんの一途な溺愛
「小野宮!待てよ!!」
神野くんに私の想いを指摘されて、そして、まるで見透かされたようで……。
その場にいることに耐えられなくなって、思わず教室を飛び出してしまった。
「ハァ、ハァ……ッ!」
分かってる。
私の鈍足じゃ、神野くんにすぐ追いつかれる。
けど、まだ分かってない。
私の中にある気持ちがなんなのか、まだ分かってない。
「(考える時間がほしい……っ)」
次に神野くんに捕まったら、絶対また聞かれる。「俺のこと好きか」って聞かれる。
私の気持ちに向き合った後で、ちゃんと神野くんと向き合いたいから、
だから、今は時間が欲しい。
「でも、すぐ、」
捕まってしまう――
そう思った時だった。
ある教室の前を通った時に、横からニュッと手が伸びできた。
そして的確に私の腕を掴み、中に引きずり込む。