不器用な神野くんの一途な溺愛〈修正版〉
相手を想うからこそ*神野兄弟*

*神野希春*




*神野希春*





莉子ちゃんが実験室を出て行った後、すぐに上重さんが入室してきた。

廊下で上重さんと莉子ちゃんと何を話していたか聞こえていた俺は、さっそうと入ってくる彼女を見て、少し吹き出しながら尋ねる。



「ねえ、三年が一年の教室の前をたまたま通ることってあるの?」



すると上重さんは「はぁ」とため息をついた後に「弟くんに言われたのよ」と一枚の紙を、ペラリと俺に見せた。


受け取ると、今月の見守り当番表だった。なんで今更こんな物を?



「下よ、下」

「下?」



不思議がる俺に、上重さんが「下を見ろ」という。目をやると、「亀井さん用」と書かれてあった。



「なに、この亀井さん用って?」
< 314 / 425 >

この作品をシェア

pagetop