無能弁護士
「美紀!待ってくれ!俺が悪かった!」

そう言いながら元彼がおいかけてくる。

「やめてよ!こんな公共の場所で、、!」

とうとう元彼が追いつき腕を掴んできた。

思わずその腕を振り払おうと肘を動かすと、彼のみぞおちにhitしてしまった。

「てめえ!女のくせに!!」

彼が私に拳を振り上げる、、、!

私は痛みを覚悟してギュッと目をつぶった。

その時、

「やめなよ」

見知らぬ男が元彼の拳を受け止めた。

「は?なんだてめぇ!!」

「私、こういうものです」

見知らぬ男は、弁護士バッジを見せつけてきた。

「今までの会話は全て聞いていました」

「は?いやなに勝手に盗み聞きしてんだよ!」

「この女性は嫌がっているように見えましたが?」

彼は私を心配そうに見つめた。

「このまま訴えることも出来ますが、、、どうしますか?」

「チッ!もういいわ。美紀、お前覚えとけよ」

元彼は地面に唾を吐くと、捨て台詞を残して走り去って行った。

「あの、ありがとうございます」

私は弁護士さんの方を向いて深くお辞儀をした。

「いえ、いいんです。GETしたての弁護士バッジを誰かに自慢したかっただけなので」

彼の顔は、とても嘘や冗談を言っているようには見えなかった。

「それでも本当に助かりました」

私は腕のアザを見られないように手で隠した。

「その怪我、病院に行った方がいいですよ。残るかもしれないので」

バッジ自慢弁護士男は、私の仕草に目ざとく気づき、そう言った。

「、、あー。そうですね。行ってみます」

歯切れ悪くそう言った。

そこで気づいたが、彼は眼鏡をしていたがよく見るとイケメンで、私の好みだった。

「あの、いつかお礼がしたいので連絡先教えてください」

「名乗るほどではありません」

そう言ってバッジ自慢弁護士男は颯爽と去っていった。

「あっ、、!!」

追いかけることも出来ずに、私はその場に立ち尽くした。

「また、会えるかな、、、」
< 1 / 4 >

この作品をシェア

pagetop