虹へ向かって飛ぼう
「……」
『髪、もったいない』
先生の言葉に悲しくなった自分がいた。
誰かのために髪を伸ばしているとか、髪が長い理由なんてなかった。
それでも、心のどこかで先生が綺麗と言ってくれたことが嬉しいと思っていた。
だから、カミラに髪を切られた時のショックの大きさに自分でも理解出来ていた。
自分が誰かの言葉で、こんなに心が乱れるなんて思いもしなかった。
それが『恋』と思いたくない。
先生に恋したとか思いたくない。
必死に自分の気持ちを誤魔化そうとしていた。