虹へ向かって飛ぼう
*“悪”が集まる場所って言わないで
「も~本当に最悪」
私はブツブツと言いながら、スマホの電卓を何度も打っていた。
40分も遅刻してしまったコンビニバイトは、今月の給料にかなり響いていた。
「はぁ……最悪。もう1時間バイトに入れていたら、一食分は稼げていたはずなのに」
何度計算しても給料が増えるわけじゃない。分かっているけど、ガッカリしてしまう。『最悪』という言葉が無意識に何度も口を衝いて出ていた。
あんな園芸部になんて入っている限り、バイトの時間が短くなってしまう。でも、バイトしていることが学校にバレてしまうことの方が心配だし。バイト先だって家が遠いスタッフより、店までの距離が近い方が融通が利くし、なんでそんな遠い所で働くのかって不審がられるし。
このバイト先を見つけるのにすごい時間がかかった。学校の近くではダメ。家の近くでも親やカミラに見つかったら学校に言われてしまうことは目に見えている。
だから1時間以上かかるこの場所まで、同じ学校の生徒に見つからないようにコソコソと電車で来ているっていうのに。