嘘つき運命ごっこ
「……帰ろっか」


先に口を開いたのは、瑞貴。

気まずそうに、それでも笑顔を見せる。


「うん、帰ろう……」


こくんとうなずき、いつもならためらいもなく隣を歩いていたところを、一歩分遅れてついていく。

隣にいないと、ちゃんとそばにいるのか不安なのか、道中の瑞貴は時折振り返った。

それが、嬉しかった。


あの胸の音は、私のものだったのかな。
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