嘘つき運命ごっこ
瑞貴と気持ちが通じ合って以来、私には一切の赤い糸が見えなくなった。

糸がない世界は初めてで、それはとても不思議な光景に見えて、少しだけ寂しかった。

今でもまだ、学さんとの赤い糸が繋がっているのかは分からない。

でも、それでいいと思えた。


「ずいぶん今さらだな」


その言葉と共に、ポンッと頭上に優しく降ってきた手のひらを感じて、頭を上げる。

その先には、優しい笑顔が待っていた。


「いいよ、別に。そんなこと忘れてたし。妹の戯れ言に、一々気にするほど暇じゃないしな」

「えー、ひっど」
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