嘘つき運命ごっこ
「はぁー、芙結のそのふり方、鉄板だよね」


瑞貴がガックリと肩を落としながら、隣を歩く。


「まだ信じてない?私には、ちゃんと見えてるんだよ」


うん。
改めて右手の小指を見ても、自分の糸は見えない。


「今さら芙結が嘘ついてるとか言わないけどさぁ、それを信じるってことは、俺は芙結の運命の人じゃないってことじゃん」

「そうだね」

「少しは悩んでよ」

「だって、……見えるから」


どこにいるかも分からない、糸を繋ぐ人。

どんな人なんだろう。


この変な体質のせいで、初恋すらまだ経験がない。

それは、糸が繋がっていない人を好きになっても、無駄だと知っているから。


出逢ってしまったら、きっとそれは、最初で最後の恋になる。
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