嘘つき運命ごっこ
眠たい目をこすりながら、ハムエッグ、トースト、熱湯を注ぐだけで出来上がりのコーンスープを用意して、
テーブルにふたり分を並べた頃、トントンとゆっくり階段をおりてくる足音が聞こえだした。


洗面所へ行くには、キッチンを通らないと行けない。

キッチンの扉を開けた学さんが、目を見開いてピタッと止まった。


「お、おはようございます!朝ごはん、出来てます」


昨夜、目の前で泣いてしまったこともあり、顔を見るのが恥ずかしくて目をそらす。


「あ、おはよう……。え?これ」


戸惑う学さんは、手に持ったかばんを床に置いた。


「大したものは作れてないんだけど。朝は、パンで大丈夫ですか?」

「いや、朝は基本食べない」

「えっ、そうなの!?」


好き嫌い以前の問題だったとは。
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