馨子ーkaorukoー
日本の摩天楼と謳われるこのビルからの夜景は確かに圧巻だった。
けれど馨子にとっては、さほど興味がわくものではなく。
「わたしは『そんなもの』よりも、早くおじ様とシたいわ」
甘い声でねだる馨子に一瞬目を見開いた西園寺だったが、すぐに穏やかで高貴な彼に戻ると、運ばれてきたアミューズに手をつけながら微笑む。
「ふっ、そう急くな。馨子は相変わらずな娘よ」
「娘って…。おじ様、わたしもうすぐ40になるのよ?娘だなんてそれこそ失礼だわ」
「わたしに言わせれば40の女はまだまだ娘だよ」
ハハハッと可笑しそうに笑う。
その後は2人で仲良く談笑しながら食事を終え、馨子はメイクを直す為にパウダールームに入った。
諸外国を飛び回っているおじ様が久しぶりに帰国されて、しかも今回は長く日本にいるということだからテンションも自然と高くなってしまう。
鏡を見ても頬の血色がやけに良い。
唇も紅はほとんど落ちてしまったというのに、まるでひきたてのように赤い。
おじ様を待たせてはいけないと、足早にパウダールームを出た瞬間、
「ねぇ、美しいお姉さん」