本部長は慇懃無礼
 フライトを終えて空港から出ると迎えの車が来ていた。運転手らしき人が小池を見つけて駆け寄って来た。


「裕太様、お迎えに上がりました」


「ありがとう。山田さん、こっちこっち」


 京子を手招きする。京子が近づくと目に入ったのは超高級車だった。


「こ、これはエルフィンの超お高い車ですよね?」


「そうだよ。でもこれは祖父の乗ってた車だから昔の型なんだ」


「なるほど。お金持ちはやっぱり違いますね」


 小池が京子に近づいた。そして耳元で呟いた。


「言っておくが君はこれから3日間、お金持ちの彼氏と付き合っている設定なんだ。忘れるなよ」


 小池に囁かれた京子の耳は唐辛子のように赤くなった。


「すっかり忘れてました……」
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