何度生まれ変わっても ─心臓病の幼馴染と過ごした日々─
序章:郁と碧
はじまり
二葉ヶ丘高校、2年A組の教室内。
放課後にも関わらず、多くの生徒達が残り、慌ただしく動いている。
「こころー!これ一緒に運んでもらってもいいかなー?」
クラスで一番小柄な少女・清水 郁が、親友の桃井 こころを呼ぶ。
「はーい、いま行くねー!」
こころは笑顔で答える。
1週間後は、待ちに待った文化祭。
2年A組は、お化け屋敷をすることに決まった。
二葉ヶ丘高校は県内屈指の進学校であり、3年生は皆受験に専念するため、文化祭の出し物には参加しないことになっている。
郁たち2年生にとっては、今年が実質高校生活最後の文化祭。
クラス中が活気に溢れ、放課後も夜まで残って一生懸命準備している。
郁も、1週間後をとても楽しみにしており、小さな体を一生懸命動かし作業をしていた。
郁には、生まれつき難治性の心臓病がある。
出生後すぐから今に至るまで、何度も入院と手術を繰り返している。
服薬が欠かせないうえ、日常生活を送る中での制限も多い。
昨年の文化祭の出し物のダンスは、主治医からの許可が降りずに参加できず悔しい思いをした。
そのため、郁にとっては、これが最初で最後の文化祭。
最後まで悔いなく、みんなと一緒に思い出を作りたい。
そんな思いから、数日前から少し目眩を感じることが増えていたが、周りには黙っている郁だった。
放課後にも関わらず、多くの生徒達が残り、慌ただしく動いている。
「こころー!これ一緒に運んでもらってもいいかなー?」
クラスで一番小柄な少女・清水 郁が、親友の桃井 こころを呼ぶ。
「はーい、いま行くねー!」
こころは笑顔で答える。
1週間後は、待ちに待った文化祭。
2年A組は、お化け屋敷をすることに決まった。
二葉ヶ丘高校は県内屈指の進学校であり、3年生は皆受験に専念するため、文化祭の出し物には参加しないことになっている。
郁たち2年生にとっては、今年が実質高校生活最後の文化祭。
クラス中が活気に溢れ、放課後も夜まで残って一生懸命準備している。
郁も、1週間後をとても楽しみにしており、小さな体を一生懸命動かし作業をしていた。
郁には、生まれつき難治性の心臓病がある。
出生後すぐから今に至るまで、何度も入院と手術を繰り返している。
服薬が欠かせないうえ、日常生活を送る中での制限も多い。
昨年の文化祭の出し物のダンスは、主治医からの許可が降りずに参加できず悔しい思いをした。
そのため、郁にとっては、これが最初で最後の文化祭。
最後まで悔いなく、みんなと一緒に思い出を作りたい。
そんな思いから、数日前から少し目眩を感じることが増えていたが、周りには黙っている郁だった。
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