何度生まれ変わっても ─心臓病の幼馴染と過ごした日々─
「郁ちゃん、施設のみんなもとても心配してるわよ。元気になったあなたに会いたいの。待ってるのよ。」

そう言って、佐藤は説得を続ける。

「心配をかけてしまってることはわかってる!だから、それが、悲しいのに…心配をかけることを…終わりに…したいのに…」

少しずつ息が上がり、顔色も悪くなっていく郁。

まずい、と思い、咄嗟に立ち上がって郁の体を支える碧。

「…ひとまず、まだ体も心も弱っているので、手術の話はまた後日にして、今は貧血の改善と、体力の回復に努めていきましょう。これは手術する、しないに関わらず必要なことなので。」

郁の前に跪いて脈をとりつつ、碧は話を続ける。

「…清水さんごめんね、まだ長い話は少ししんどかったね。」

「佐藤さんも、せっかく来て頂いたのに申し訳ありません。」

「いえ、先生…こちらもちゃんと言い聞かせられずすみません。郁ちゃんをよろしくお願いします。」


面談を終えて、郁は病室のベッドに戻される。

まだ郁の息は少し荒い。

「ちょっと無理させちゃったか…酸素をたくさん流しておこうね。安静にしてて」

そんな碧の声を聞きながら、だるさで瞼を閉じる郁だった。
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