夜華の先に
old story1
あの日、あの部屋で赤い雨が降ったようだった。


私の目の前には赤く染まった母親と父親。


今でも忘れない。


あの憎い顔の男が母親と父親の上にまたがっている。


ハッ…ハッ…


息が止まったように呼吸ができなかった。


私は頑張って息を吸い集めた。


すると、男は私の方を向いた。

いつも綺麗だった茶色の目は赤く光っていて、私を離さなかった。


その目は、


次はお前だ。


そう言っているように感じた。

その瞬間今まで働いていなかった脳みそが「逃げろ」と、


私は頑張って重い足をあげドアを開けてその部屋から逃げた。


< 1 / 53 >

この作品をシェア

pagetop