光属性魔法の使い方
「で、なんで男子までいるのよ?」
うんざりとした顔をしながら百音は後ろを振り返った。
先を並んで歩く私と百音の後ろには男子3人も続いていた。私はまったく構わないのだが、百音は気になるらしい。
「俺も真白の部屋気になる!」
「飛鳥は真白大好きだもんな〜。」
「茶化すなよ聖! 俺は本気だかんな!」
そんな2人に私は苦笑を漏らした。
飛鳥は常々こうして好意を伝えてくれる。迷惑では全くないのだけれど、どう接すればいいか分からなくて困ってしまう。
「真白。迷惑だったらアイツら連れて帰るから、いつでも僕に言ってね。」
「青、ありがとう。全然迷惑じゃないよ。」
青はこういうときの細やかな気配りが圧倒的に上手だ。下に兄弟がいると聞いて納得したものだ。それ以来男子のことで困り事があればとりあえず青に相談している。
そうこうしているうちに部屋の前に着き、鍵を開けた。
「どうぞ…。」
先に中に入って皆を呼ぶと、皆は入室しながらギョッとした。
「本当に…何もない…。」
「女の部屋とは思えねぇな…。」
「確かにかなりシンプルだね。」
私は苦笑を漏らした。
部屋には机と椅子、ベッド、本棚、長箪笥が備え付けで置いてあるが、それ以外は本当に人が使っているのか怪しい程物がない。
百音の部屋は女の子らしい部屋でカーテンも可愛い物がついているし、机には可愛らしい雑貨、本棚にはぬいぐるみが並んでいる。
私はカーテンもつけていなければ、机には何もなし、本棚には教科書と日記帳がある程度だ。
「でもこのうさぎのぬいぐるみすっごく可愛い!」
百音は窓辺に置いてあったぬいぐるみを手に取ると目を輝かせてこちらを振り返った。百音は可愛い物に目がない。
私は百音が持つぬいぐるみの頬に指の背を滑らせた。
「…八雲さんに、もらったの。」
「え? あのお花飛んでる人?」
「ふ、ふふ。そう。」
改めて言われると可笑しくて仕方がない。確かに普段の八雲さんは穏やかだし、花が飛んでいると言われても不思議はない程ゆるゆるな雰囲気をしている。
けれど仕事中の彼も知っている私からすると、周囲からはそんなふうに見えるのかと新鮮な気分だ。
「お見舞いに、もらったの。」
八雲さんに保護されて数日後、彼はこのぬいぐるみを携えてやって来た。
少しくすんだピンク色をしたうさぎのぬいぐるみ。私の顔くらいの大きさだろうか。耳の内側に当たる部分には小花柄の布が使われており、目は粒らで非常に愛らしい。
彼が真剣にこれを選んでいる姿を思い浮かべると愛しくて堪らない。
「…真白って、八雲さんのこと大好きなのね。」
「え…。」
唐突にそう言われてかなり面食らってしまった。百音はそんな私を見て優しく笑って続けた。
「分かり易いなぁ。可愛い!」
「え、えぇ…!」
私は思わず両頬を両手で隠した。恥ずかしくて堪らなかった。一体どんな顔をしていたんだろう。
「そういえば真白を助けてくれたの、八雲さんだって言ってたわね。あのおじさんがねぇ…。」
「百音…人の好きな人のことおじさん呼ばわりは…。」
「あ…。そうね、ごめん真白。」
「ううん、結構年上だもん。」
八雲さん…9歳にとってやっぱり八雲さんはおじさんみたいです。あと数年我慢してください…。
「やっぱかっけぇなぁ、八雲さん!」
飛鳥を振り返ると、飛鳥は目を輝かせていた。どうやら彼は、魔法実演の日以来八雲さんに憧れを抱いているらしい。
「俺、絶対守護隊に入って八雲さんと仕事すんだ!」
うんざりとした顔をしながら百音は後ろを振り返った。
先を並んで歩く私と百音の後ろには男子3人も続いていた。私はまったく構わないのだが、百音は気になるらしい。
「俺も真白の部屋気になる!」
「飛鳥は真白大好きだもんな〜。」
「茶化すなよ聖! 俺は本気だかんな!」
そんな2人に私は苦笑を漏らした。
飛鳥は常々こうして好意を伝えてくれる。迷惑では全くないのだけれど、どう接すればいいか分からなくて困ってしまう。
「真白。迷惑だったらアイツら連れて帰るから、いつでも僕に言ってね。」
「青、ありがとう。全然迷惑じゃないよ。」
青はこういうときの細やかな気配りが圧倒的に上手だ。下に兄弟がいると聞いて納得したものだ。それ以来男子のことで困り事があればとりあえず青に相談している。
そうこうしているうちに部屋の前に着き、鍵を開けた。
「どうぞ…。」
先に中に入って皆を呼ぶと、皆は入室しながらギョッとした。
「本当に…何もない…。」
「女の部屋とは思えねぇな…。」
「確かにかなりシンプルだね。」
私は苦笑を漏らした。
部屋には机と椅子、ベッド、本棚、長箪笥が備え付けで置いてあるが、それ以外は本当に人が使っているのか怪しい程物がない。
百音の部屋は女の子らしい部屋でカーテンも可愛い物がついているし、机には可愛らしい雑貨、本棚にはぬいぐるみが並んでいる。
私はカーテンもつけていなければ、机には何もなし、本棚には教科書と日記帳がある程度だ。
「でもこのうさぎのぬいぐるみすっごく可愛い!」
百音は窓辺に置いてあったぬいぐるみを手に取ると目を輝かせてこちらを振り返った。百音は可愛い物に目がない。
私は百音が持つぬいぐるみの頬に指の背を滑らせた。
「…八雲さんに、もらったの。」
「え? あのお花飛んでる人?」
「ふ、ふふ。そう。」
改めて言われると可笑しくて仕方がない。確かに普段の八雲さんは穏やかだし、花が飛んでいると言われても不思議はない程ゆるゆるな雰囲気をしている。
けれど仕事中の彼も知っている私からすると、周囲からはそんなふうに見えるのかと新鮮な気分だ。
「お見舞いに、もらったの。」
八雲さんに保護されて数日後、彼はこのぬいぐるみを携えてやって来た。
少しくすんだピンク色をしたうさぎのぬいぐるみ。私の顔くらいの大きさだろうか。耳の内側に当たる部分には小花柄の布が使われており、目は粒らで非常に愛らしい。
彼が真剣にこれを選んでいる姿を思い浮かべると愛しくて堪らない。
「…真白って、八雲さんのこと大好きなのね。」
「え…。」
唐突にそう言われてかなり面食らってしまった。百音はそんな私を見て優しく笑って続けた。
「分かり易いなぁ。可愛い!」
「え、えぇ…!」
私は思わず両頬を両手で隠した。恥ずかしくて堪らなかった。一体どんな顔をしていたんだろう。
「そういえば真白を助けてくれたの、八雲さんだって言ってたわね。あのおじさんがねぇ…。」
「百音…人の好きな人のことおじさん呼ばわりは…。」
「あ…。そうね、ごめん真白。」
「ううん、結構年上だもん。」
八雲さん…9歳にとってやっぱり八雲さんはおじさんみたいです。あと数年我慢してください…。
「やっぱかっけぇなぁ、八雲さん!」
飛鳥を振り返ると、飛鳥は目を輝かせていた。どうやら彼は、魔法実演の日以来八雲さんに憧れを抱いているらしい。
「俺、絶対守護隊に入って八雲さんと仕事すんだ!」