光属性魔法の使い方
「今日は魔法の授業だ!」
先生が大声を張り上げた。今日は初めての魔法ということで、何だか気合が入っているらしい。
この訓練では座学で知識を身につけるとともに最低限の護身術を身につける目的がある。具体的には体術、武術、そして魔法。
そもそもこの国の成り立ちが戦いであることから、国民のほぼ全員が戦闘訓練を受けている。そのため皆が最低限戦えるのだ。
「今日は魔法についてだ! 今日はゲストにこの方に来ていただいた!」
先生の視線の先を見やると、知った顔がいた。
八雲隊長だ。
訓練に参加するようになってからは顔を見ていなかったので、とても久しぶりに感じる。八雲隊長はいつもの笑顔でこちらに歩いて来た。
「こんにちは〜。」
「八雲さんだ! 知ってる者も多いと思うが、第1守護隊で班長をされている!」
守護隊……この国を守護する組織だ。守護隊は複数に分かれており、各守護隊によって担当する任務が異なる。
第1守護隊は最強の戦闘力を誇る隊で前線に出ることが多く、言わばエリートだ。そこの班長なのだから八雲隊長は相当な腕利きということになる。
(あ…。)
そうか、と私はやっと気が付いた。私が殺されるのは今から約10年後。八雲隊長はまだ班長。人前で“八雲隊長”と口走らないように気をつけなくては。
「あのおじさん、花でも飛んでそうな笑顔だけど大丈夫? 本当に強いの?」
遠慮のない百音の物言いについつい吹き出してしまった。声をひそめて言ったつもりだろうが、恐らく訓練を積んだ八雲隊長……もとい八雲さんには聞こえている。
チラリと八雲さんを盗み見ると、少し傷ついているのが見てとれた。9歳からしたら20歳なんておじさんだろうから無理もないが…。
「百音! 聞こえるぞ!」
先生にそう言われて、百音は慌てて口をつぐんだ。
先生もそんな大きな声で指摘しなくても。隣に立つ八雲さんが聞き流していたのに、気まずそうだ。
「いいか、魔法にはいくつかの属性がある。青、答えてみろ。」
「はい。魔法には火、草、水、土、風の5つの属性があります。」
「正解だ。人にはそれぞれ得意とする属性がある。基本的には2つ3つだが、訓練次第ではもっと使えるようになる可能性がある。」
魔法。
どの属性も当てはまらないけれど、もしこの2度目の人生が魔法によるものだとしたら…属性は何だろう。属性の掛け合わせ…?
ボンヤリと考えに耽る私を見つけた先生の叱責が飛んできた。私がいつものように縮こまると、八雲隊長は苦笑した。きっと報告が入っていたのだろう、特に驚いた様子はなかった。
「八雲さんは全属性の魔法を使える数少ない人だ。全属性使える人間はあまりいないんですよね?」
「うーん、俺が知る限りだとあと数人くらいかなぁ…。」
皆が感嘆の声を漏らす。それは先程まであんなことを言っていた百音も同様だった。
そう、エリート守護隊にいるだけあって八雲さんは凄いのだ。実際、私の1度目の記憶の中にも全属性を使える人間はほぼいない。どうだ、すごいだろうとなぜか私が嬉しくなってしまう。
「じゃあ実演していただきましょうか。八雲さん、お願いします。」
先生の声を皮切りに、八雲さんは手の平を上に向けた状態で胸の前に腕を伸ばした。
「まずは火属性。」
ボッと音を立てて火の玉が手の平の上に出現すると、皆から再度感嘆の声が上がった。
その後、先生の言葉に合わせて草、水、土、風の各属性の玉を出現させた。滑らに切り替わる属性に私まで目を奪われる。苦もなくやってのける八雲さんはやはりすごい。
先生が大声を張り上げた。今日は初めての魔法ということで、何だか気合が入っているらしい。
この訓練では座学で知識を身につけるとともに最低限の護身術を身につける目的がある。具体的には体術、武術、そして魔法。
そもそもこの国の成り立ちが戦いであることから、国民のほぼ全員が戦闘訓練を受けている。そのため皆が最低限戦えるのだ。
「今日は魔法についてだ! 今日はゲストにこの方に来ていただいた!」
先生の視線の先を見やると、知った顔がいた。
八雲隊長だ。
訓練に参加するようになってからは顔を見ていなかったので、とても久しぶりに感じる。八雲隊長はいつもの笑顔でこちらに歩いて来た。
「こんにちは〜。」
「八雲さんだ! 知ってる者も多いと思うが、第1守護隊で班長をされている!」
守護隊……この国を守護する組織だ。守護隊は複数に分かれており、各守護隊によって担当する任務が異なる。
第1守護隊は最強の戦闘力を誇る隊で前線に出ることが多く、言わばエリートだ。そこの班長なのだから八雲隊長は相当な腕利きということになる。
(あ…。)
そうか、と私はやっと気が付いた。私が殺されるのは今から約10年後。八雲隊長はまだ班長。人前で“八雲隊長”と口走らないように気をつけなくては。
「あのおじさん、花でも飛んでそうな笑顔だけど大丈夫? 本当に強いの?」
遠慮のない百音の物言いについつい吹き出してしまった。声をひそめて言ったつもりだろうが、恐らく訓練を積んだ八雲隊長……もとい八雲さんには聞こえている。
チラリと八雲さんを盗み見ると、少し傷ついているのが見てとれた。9歳からしたら20歳なんておじさんだろうから無理もないが…。
「百音! 聞こえるぞ!」
先生にそう言われて、百音は慌てて口をつぐんだ。
先生もそんな大きな声で指摘しなくても。隣に立つ八雲さんが聞き流していたのに、気まずそうだ。
「いいか、魔法にはいくつかの属性がある。青、答えてみろ。」
「はい。魔法には火、草、水、土、風の5つの属性があります。」
「正解だ。人にはそれぞれ得意とする属性がある。基本的には2つ3つだが、訓練次第ではもっと使えるようになる可能性がある。」
魔法。
どの属性も当てはまらないけれど、もしこの2度目の人生が魔法によるものだとしたら…属性は何だろう。属性の掛け合わせ…?
ボンヤリと考えに耽る私を見つけた先生の叱責が飛んできた。私がいつものように縮こまると、八雲隊長は苦笑した。きっと報告が入っていたのだろう、特に驚いた様子はなかった。
「八雲さんは全属性の魔法を使える数少ない人だ。全属性使える人間はあまりいないんですよね?」
「うーん、俺が知る限りだとあと数人くらいかなぁ…。」
皆が感嘆の声を漏らす。それは先程まであんなことを言っていた百音も同様だった。
そう、エリート守護隊にいるだけあって八雲さんは凄いのだ。実際、私の1度目の記憶の中にも全属性を使える人間はほぼいない。どうだ、すごいだろうとなぜか私が嬉しくなってしまう。
「じゃあ実演していただきましょうか。八雲さん、お願いします。」
先生の声を皮切りに、八雲さんは手の平を上に向けた状態で胸の前に腕を伸ばした。
「まずは火属性。」
ボッと音を立てて火の玉が手の平の上に出現すると、皆から再度感嘆の声が上がった。
その後、先生の言葉に合わせて草、水、土、風の各属性の玉を出現させた。滑らに切り替わる属性に私まで目を奪われる。苦もなくやってのける八雲さんはやはりすごい。