ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「先ほど、日本酒自体も風柳さんにプロデュースしてもらうという話がありましたが、彼女はあまり日本酒が得意ではないと小耳に挟みまして……。協力してもらうのには少し懸念があるのですが」

 彼の言う通り、風柳さんは日本酒が苦手らしい。交渉した時に聞いたので俺も知っているし、社員たちから反対意見が出るのも想定済みだ。

「もちろん私も承知の上だ。なにか問題が?」

 表情を変えずに返すと、営業部長は若干怯えた様子でぐっと喉を詰まらせた。自分では普通にしているつもりだが、また威圧感が出てしまったか。

「えー、ですから、それでいいものが作れるのかと……」
「いいものにするんだよ、なにがなんでも」

 間髪を容れず言い切る俺に、皆が身体を強張らせるのがわかった。これは別に脅しでも、圧力をかけているわけでもない。

「日本酒が得意ではない人だからこそ、そちら側の意見を聞くことができる。うまくいけば、苦手な人にもすすめられるものが出来上がるはずだ。絶好のチャンスだろう」

 苦手だからと遠ざけてしまっては、その人たちは絶対に掴めない。彼らを取り込められれば、客層はもっと広がる。

 はっとした様子のメンバーたちを見回し、改めて俺たちが目指す方向を明確にしておく。

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