ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~

 年末の慌ただしさを乗り越え、なんとか仕事を納めることができた。しいじは三十日まで営業しているようだが、依都はその日から休みをもらい一緒に新潟へやってきた。

 これから結婚の挨拶と、両家の顔合わせを一緒にやってしまおうということで、皆で食事をすることになっている。

 まず向かったのは花菱さんの自宅。料亭の場所がわからないらしいので、俺の車で一緒に行くことにしたのだ。

 先日降った雪が道路脇や田んぼに積もっている中、足元に気をつけてふたりで玄関に入ると、花菱さんが嬉しそうな笑顔で出迎えてくれた。

「お祖父ちゃん、ただいま」
「おかえり、依都。……と、社長さん」

 セミフォーマルなワンピース姿の依都を見た後、俺に目線を向ける花菱さん。「ご無沙汰しております」と頭を下げると、彼は額に手を当てて天を仰ぐ。

「まさか依都をもらわれるとは……」
「申し訳ありません。想像よりはるかに素敵な女性で、惹かれる気持ちを抑えられませんでした」
「史悠さん……!」

 依都は手で顔を覆い、花菱さんは一瞬ぽかんとした後「はっはっは!」と大笑いした。

「あんたはほんと正直だなぁ。別に謝ることねぇんだよ。依都の可愛さを知って惚れないほうがおかしいだろ~」
「お祖父ちゃんまでやめて」

 照れている依都を眺め、心の中で〝やっぱり可愛い〟と連呼していたのは、きっと花菱さんも同じだろう。

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