ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「生い立ちや家柄を気にしてるなら、そんな必要はないからな。うちのシマはたくさんあるとはいえ、ただの酒蔵の人間なんだから」
「そうよ~。お嫁さんになってくれただけでありがたいわ」

 母がにこにこしてそう続けた。

 だからシマとか言うなとツッコみたいが、ふたりの言葉はその通りだ。と思ったのもつかの間……。

「まあ、欲を言えば跡取りは欲しいがな」
「孫の顔は見たいわね」

 やっぱりその話になるのか、と俺の目が据わる。隣の依都も、ややぎくりとしたのが俺にはわかった。

 叶芽もにやりとして加わってくる。

「私も、パパになったお兄ちゃんがどうなるのかは興味あるな」

「別に、なにも変わらないと思うが」

「わかんないよ~。だって小さい時私の面倒みてくれてたし、意外と子煩悩になりそうな気がするんだよね。お兄ちゃんが子どもにデレデレになってるところ見てみたい」

「そりゃあ、依都との子なら可愛がるに決まってる」

 自信を持って答えると、叶芽は「きゃー」と控えめに高い声をあげて冷やかした。

 小さい子は見ていると癒やされるし嫌いじゃない。なにより、好きな人との子なら無条件で愛せる。水族館で迷子になっていたあの子のように、向こうがどう思うかはわからないが。

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