ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
リンパ節に転移しているものの、がんの大きさは比較的小さめなので手術もできたらしい。でも大変なのはこれからだとも聞くし、母にとっては苦しい時期になるかもしれない。
「こういう時、家族なら支えてあげたいって思いますよね。普通は……」
立ち上る湯気を見るともなしに眺め、複雑な心の内を明かす。
「まだどこか他人事なんです。会ったほうがいいってわかっているのに、心が動かないというか……この状態では、まだ無理だなって」
「二十年以上会っていないんだし、そうなるのは不思議じゃないだろう」
勇気が出ない私に、史悠さんは寄り添ってくれる。いつも厳しいくせに、頭ごなしにダメだと言わない彼は、本当は優しい人だと思う。
「とりあえず、お母さんが治療を受けてくれてよかったよ。最初はこのままなにもしなくていいと言っていたくらいで、花菱さんが説得したらしいから」
「……そうだったんだ」
その話は初耳で、ちりっと胸が痛む。
極論、母は死んでもいいと思っていたってこと? 大切な人はいないのかな。
ますます複雑な気持ちになって肩まで沈むと、後ろから彼が抱きしめてくる。
「きっとまだ時間はある。依都がその気になったら、俺はいつでも協力するから」
「うん……ありがとう」
史悠さんの存在は本当に心強い。こんな私を見限らず包み込んでくれる彼に感謝して、しばらく身を委ねていた。
「こういう時、家族なら支えてあげたいって思いますよね。普通は……」
立ち上る湯気を見るともなしに眺め、複雑な心の内を明かす。
「まだどこか他人事なんです。会ったほうがいいってわかっているのに、心が動かないというか……この状態では、まだ無理だなって」
「二十年以上会っていないんだし、そうなるのは不思議じゃないだろう」
勇気が出ない私に、史悠さんは寄り添ってくれる。いつも厳しいくせに、頭ごなしにダメだと言わない彼は、本当は優しい人だと思う。
「とりあえず、お母さんが治療を受けてくれてよかったよ。最初はこのままなにもしなくていいと言っていたくらいで、花菱さんが説得したらしいから」
「……そうだったんだ」
その話は初耳で、ちりっと胸が痛む。
極論、母は死んでもいいと思っていたってこと? 大切な人はいないのかな。
ますます複雑な気持ちになって肩まで沈むと、後ろから彼が抱きしめてくる。
「きっとまだ時間はある。依都がその気になったら、俺はいつでも協力するから」
「うん……ありがとう」
史悠さんの存在は本当に心強い。こんな私を見限らず包み込んでくれる彼に感謝して、しばらく身を委ねていた。