ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 ついこの間も、私がトイレに入っていることを知らずに女性社員が話しているのを耳にしてしまった。

『御鏡夫妻ってどんな夫婦生活を送ってるんだろうね。やっぱり社長って亭主関白なのかな』
『事業のための政略結婚って噂だし、跡取りさえ授かれればいいのかもしれないわよ』

 そんな内容だったのだが、悪口を言っているというより私を憐れんでいるような調子だった。

 ああ、なんとも解せない。愛のない結婚だと思われているのは。だって、私たちは──。



「あっ、ぅ……それ、ダメ……!」
「よがってる姿も可愛いな。俺の奥さんは」

 扇情的に微笑む彼に、ぴんと主張した胸の先端を指で軽く弾かれ、幾度となく甘い痺れが走った。その間も腰はゆるゆると打ちつけられていて、いやらしい水音が響いている。

 間接照明の明かりが、キングサイズのベッドで私を翻弄する旦那様を照らす。その引き締まった裸体も、汗が滲む欲情した顔もものすごくセクシーで、ドキドキしすぎて苦しい。

 私たち夫婦が毎晩こんな風に愛し合っているなんて、皆想像もしていないんだろう。

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