ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 アパートにはものの十分ほどで着き、その手前にある道路の端で停車した。こちらを振り返る波多野さんと、直に目を合わせてお礼を言う。

「波多野さん、わざわざ送ってくださってありがとうございました」
「いいえ。またなにかの機会にお会いできることを願っています」

 最後まで快く接してくれた彼に軽く頭を下げ、同じく感謝している御鏡さんに向き直る。

「御鏡さんのおかげで素敵な時間を過ごせました。ありがとうござ──」

 お礼を口にしている途中で、彼がおもむろになにかを差し出してきた。月白色の和紙で包装された、小さな箱らしきものだ。

「えっと、これは……?」
「今日、誕生日なんだろう。さっき電話している時に聞こえた」

 ──思いがけない誕生日プレゼント。驚きと感激で目を見開く。

 雫との電話で、あの子が『おたおめ~!』と言ったのが漏れ聞こえていたのか。だとしても、プレゼントまで渡してくれるなんて。

 包装には〝Hidaka〟と記された金色のシールが貼られているし、あのレストランで売っていたものに違いない。おそらく私がお手洗いに行っている間に、会計と一緒に買ってくれていたのだろう。

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