ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「先日、ここが休みだということを知らずに来てしまったんですが、たまたま彼女にお会いして。親切に対応してくれました」
「あ~なるほど。……それだけですか?」

 納得したかと思いきや、猜疑心たっぷりに食い下がってくる彼。わかりやすい人だなと、疑惑を確信に変えてゆるりと口角を上げる。

「あとは秘密です」

 あえて意味深にしておくと、彼は不満を露わにするように仏頂面になった。

 面白い人だなと思っていると、依都さんが日本酒の徳利とお猪口を持ってやってきた。けん制しておきたくなり、新さんにもしっかり聞こえる声で問いかける。

「来週、火曜の定休日はなにか予定があるか?」
「あ、いえ。特になにも」
「じゃあ、仕事が終わったら迎えに行く。行きたいところがあれば考えておいてくれ」

 ストレートな誘いに、ふたりとも目を丸くする。

「あれだけじゃ物足りないんだろう?」

 依都さんを見上げ含みを持たせて言うと、彼女の頬がうっすら染まっていく。「……はい。楽しみにしてます」と微笑まれ、胸に安堵と喜びが広がった。

 しかしそのやり取りを見て絶句していた新さんが、眉根を寄せて俺たちの柔い空気を切り裂く。

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